初ボワシエ

なんだか最近初物が多いです。それは引越しをして生活圏ががらりと変わったから。

以前よりも贅沢度８割増くらいで一昨年秋にリニューアルした大丸東京店、これまでデパ地下と呼ばれていたエリアの一部が１階に上がってきておりました。その中でも、日本発出展として鳴り物入りでオープンしたのが、フランスのショコラドリー・ボワシエ。らしい。
大丸へ買い物に行くと毎回必ず店先を冷やかすのだが、一度友人へのお土産に小さな缶に入ったショコラを買ったきりで、自分で食べたことはなかった。だって高いんだもん。
そのお高いケーキが、クリアランスセールの一環（？）としてお安くなっていたので、今買わずにいつ買う！と思い立つ。

タルト・オ・シトロン、普段は450円くらいで売られているものが今日は399円。
そしてシトロン系は旦那の大好物である。おまけに目の前で一気に４つも売れていった。後ろで見ていると意味もなく焦る。いや別に売り切れはしないでしょ（笑）

旦那はシトロンというかレモンカード系の味が大好きで、最近毎日のように近所の西友で売っているレモンパンを食べている。酸っぱいのキライなくせに、レモンパンだのタルトシトロンだの鮨飯だのはガツガツ食う。ほんとただの食わず嫌い。それはオイトイテ。
こんなこと言ったら怒られそうだけど、と前置きしてから、旦那は「レモンパンと同じ味」とのたまいました。パリの方向に合掌。スーパーで、しかも特売時111円で売られている菓子パンと同列にされてしまいました。が、やはりその結論は変わらないらしい。美味しいけど、ありがたがって食べるほど美味しいとは思わない、という。一口横から食べると確かに、台のタルトも（こないだ食べたアルカイクとどうしても比較してしまうのでよけいに）香ばしさといい塩気といい物足らない。レアチーズ風味のレモンクリームも、ふぅんまあこんなもんかー的な。

浦和のアカシエの「タルト・シトロン・モデルヌ」の素晴らしさを、しみじみと思い出しました。うううっ浦和が遠くなった・・・（涙）

品揃えが薄いのでこれくらいしか欲しいものがなかった、ル・ベリセール。ま、どうせあんな感じでこんな味のチョコレートものよねーと予想しながら買って帰ったんですが、これがいろんな意味で期待を裏切るガトーでした。
この真四角の濃茶色のケーキを見て、どんなのを想像します？表面のショコラはねっとり重く、中は恐らくチョコ味のスポンジとムースの多層構造で、もしかしたらフランンボワーズのジュレとかそんなのが挟んであったりするかも。名前のほかには何も書いていないプレートで、店員は訊いても無駄だろうし忙しそうだしなので、何も訊かずに買って帰りましたが。
天井から床までフォークを突き刺して割ってみると、予想を裏切るその中身。層なんかない。ただ濃厚なチョコレートムースが、四角く形作られているのみ。このムース、というかこれは冷やしてあるんじゃなくて焼いてあるんだろうから正確にはガトーショコラに近いのだろうが、小麦粉は殆ど入っていない。濃厚、だけれど割合さらっとしている。結構苦いが酸味もあるし、表面のガナッシュが幾分甘めに作られている。ヨーロッパのケーキの甘さ、という点を考えて比較すると、物凄く異様な、だが恐ろしく秀逸なケーキ。さ、さすがはショコラティエ。まさかこんなにシンプルで奥が深くて美味しいものだとは思わなかった。むむむ、やはりこの店はショコラも試してみるべきか。
（某all aboutの紹介ページに「甘味が強く濃厚なガトーショコラ」って書いてあるけど、絶対嘘。甘みも濃さも感じずに食べきったぞ）

帰宅後にネットで調べたら、創業者の名前を冠した看板ケーキらしいことが判明。
皆さん、ボワシエでケーキ買う機会があったら、これは絶対に外しちゃだめですよん。